「左官」と「塗装」はどう違う?工事の違いや特徴をプロが解説!

皆さん、こんにちは。大阪府堺市を拠点に、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県で一般住宅からビル、店舗、工場などの内装・外装左官を手掛けている城工業です。


弊社が手がけている左官と、建物の外壁に多く見られる塗装は、どちらも壁を塗る作業です。しかし、使う材料や作業工法などが全く異なるため、明確に区別して理解することが必要です。この記事では、左官と塗装の違いを解説します。




■塗装工事とは?



塗装工事は、ペンキなどの塗料・塗材を塗ったり吹き付けたりする工事です。広い面積を短工期で仕上げられるのがメリットで、壁の仕上げ作業で多く用いられます。ただ色を付けているだけのように見えますが、紫外線や雨風、温度変化、サビなどから家を守る上でも重要な工事です。


主な工法としては、ローラー工法と吹き付け工法の2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。



・ローラー工法

ローラーを使って手塗り作業で塗る工法です。ウールローラーやマスチックローラー、スポンジローラーなどを使い分け、細かい部分は刷毛で塗ります。機械を使用しないため騒音が出にくく、塗料が飛散しにくいので無駄なく塗れるのがメリットです。塗膜に厚みが出るため、耐久性にも優れています。


デメリットは塗膜が厚くなる分、乾燥に時間がかかることです。また、吹き付け工法に比べると塗り方の自由度が低く、仕上がりの模様はそれほど豊富ではありません。しかし、塗料の飛散量を抑えられるメリットが大きく、近年ではローラー工法が主流になっています。



・吹き付け工法

スプレーガンによって塗料を吹き付ける工法です。広範囲を均一かつ一気に塗ることができ、しかも塗膜が薄く乾燥が早いので、ローラー工法よりも短期間で工事を終えることができます。仕上がりの模様も豊富で、デザインにこだわる方におすすめです。


一方、塗料が飛散しやすいので無駄が多く、養生も丁寧かつ広範囲に施さなければなりません。機械を使うために騒音が出ることや、塗膜が薄く耐久性に劣ることもデメリットです。こういった事情により、近年では採用される機会が減っていますが、状況を選べば十分活躍できます。




■左官工事とは?



左官工事は、土・モルタル・プラスタ―・漆喰といった壁材を、主にコテを使って塗っていく工事です。単純な作業に見えますが、実際には下地を塗って中塗りを重ねて乾燥。さらに上塗りによって壁表面を仕上げ、再び乾燥させてようやく完成するのです。


左官によって仕上げた壁は、凹凸がある特徴的な形となり、光沢がなく独特の質感を持っています。




■左官工事の種類



左官の種類には、下地塗りと仕上げ塗りの2つがあります。どのような作業を行うのか、さらに詳しく説明します。



・左官工事~下地造り~

下地造りは、住宅の玄関や水回りに必要な壁・床の下地を造る工事です。建物の基礎となる部分であり、建物が建つと下地を直接見ることはできません。


地味な作業と思われることもありますが、下地がしっかりしていないと建物が建てられません。このため、下地造りは建物を施工するための重要な工程なのです。



・左官工事~仕上げ塗り~

仕上げ塗りでは、壁などの表面に壁材を塗り、仕上げていきます。下地を造ったのち、珪藻土や漆喰を上塗りしていくと、土壁や漆喰壁が完成します。


上塗りで使うコテの動きが、壁の模様として反映されるうえ、塗り方によって建物の耐久性が変わるため、職人の腕の見せ所と言える作業です。


左官の原料として、主に以下の4つの素材が使われます。



1. 左官素材「漆喰」

左官の素材のうち、多く使われているのは漆喰です。消石灰を主成分とし、水・苆(すさ。繊維のひとつ)・糊を混ぜて作ります。空気中の二酸化炭素との結合により時間をかけて固まり、少しずつ石灰石へと戻っていきます。この働きが、漆喰を使った壁が「呼吸する」とされている理由なのです。


消石灰は強アルカリ性の性質を持ち、細菌類の雑菌や分解に効果を発揮します。カビの抑制・ダニなどの防虫効果・室内の消臭効果なども期待できます。



2. 左官素材「珪藻土」

珪藻土は、藻(植物性プランクトン)の死骸である珪藻が化石化したのち、堆積してできた泥土です。自然素材であり、お子さんのアレルギー症状(アトピー・シックハウス症候群など)を心配するご家庭が、住宅の壁素材として取り入れるケースが増えています。


耐火性や断熱性に優れていますが、他の凝固剤と混ぜ合わせて使う必要があります。



3. 左官素材「土壁」

左官で取り扱う素材のうち、最も代表的なものです。粘土・砂・糊・稲わら・水を調合して作ります。珪藻土は、土壁の種類のひとつです。


和室などで使用されるケースが多いですが、カラーや仕上げにバリエーションを持たせることができるため、個性を演出したい場所にもぴったりです。



4. 左官素材「砂壁」

砂壁は、糊液で色砂を練って上塗りして仕上げた壁のことで、和室・床の間の内壁に取り入られていることがほとんどです。

モルタルのコテ塗りに適した粒度に調整された洗い砂です。大きな砂利を含まないため、コテ塗りが滑らかに進み、仕上がったときの見栄えが通常の砂より美しくなります。




■左官工事は塗装とは違った魅力があります



左官工事の魅力は、塗り壁の仕上がりが全く同じになることがない点です。職人が、コテを使って手作業で仕上げるため、壁ごとで表情がひとつひとつ異なります。お客さまが希望されるさまざまなデザインを、自由自在に実現できるのが、左官工事の大きなメリットです。


さらに、漆喰や珪藻土を用いることで、断熱性や吸放出性・温度調節の点など、機能面で大きなメリットがあります。自然の力を活かした壁作りをご自宅に取り入れたい方は、ぜひ左官を使ったリフォームを実現してみてはいかがでしょうか。



城工業では、内装や外装を始め、床や天井などあらゆる箇所の左官工事を専門的に施工しております。プロフェッショナル集団による質の高い施工をお約束いたします。左官による施工に興味のあるお客様は、お気軽に城工業までご連絡ください。