左官壁は、日本はもちろん海外でも用いられてきた伝統的な工法です。水、土、そして植物といった自然素材を使うため安全性が高く、さまざまな機能も備えているのが魅力。内装・外装を問わず使える汎用性の高さもあって、近年再び人気が高まっているのです。今回は、左官壁の種類やメリットを紹介します。
●左官壁の種類
左官工事による壁の仕上げには、実にさまざまな種類があります。そのため、デザインの好みや部屋の用途によって使い分けるのがおすすめです。主な左官壁の種類を見ていきましょう。
・漆喰(しっくい)
石灰に海藻糊、すさ(麻)などを混ぜて練り上げたものです。なめらかな質感が特徴で、日本では城や蔵の壁に使われてきた歴史があります。白いイメージが強いかもしれませんが、近年では多彩な色を使えるようになりました。
・珪藻土(けいそうど)
植物プランクトンの一種である珪藻の殻からできている素材です。海や湖で珪藻が死ぬと、死骸は水底に堆積して殻だけが残ります。それが化石となった岩石が珪藻土なのです。左官壁に使う時は、糊を加えて固めます。
・聚楽壁(じゅらくかべ)
かつて京都には、豊臣秀吉の城として知られる聚楽第(じゅらくだい)がありました。その跡地周辺から算出される、聚楽土と言う色土を使ったのが聚楽壁です。現在では、同じような仕上がりになる壁をすべて聚楽壁と呼んでおり、使う土によって多彩な色を生み出すことができます。
・シラス壁(白州壁)
南九州を中心に産出される「シラス」を使った壁です。シラスは火山噴出物が堆積したもので、火山の多い日本では入手しやすいため、白く美しい壁をローコストに実現できます。
・モルタル
セメントと水と砂を混ぜて練り上げたものです。コンクリートと似ていますが、砂利は使用しません。仕上げ材としてはもちろん、壁自体を作るのにも使用可能。いわゆるコンクリート打ちっ放しに近い雰囲気を出せ、スタイリッシュなデザインから人気を集めています。
・ジョリパッド
アイカ工業から発売されているアクリル系の壁仕上げ材です。塗料に砂などを混ぜて作られており、180 以上のカラーと100 以上のデザ インから選ぶことができます。
●左官壁のメリット
近代的な壁仕上げの工法が主流になって以降、左官壁が施行されることは少なくなりました。しかし近年では、その優れた性能が見直され、施工を希望する人も増えてきています。左官壁の主なメリットを挙げてみましょう。
▼調湿性
左官壁は、湿度が高い時は湿気を吸収し、逆に低い時は放出する「調湿性」に優れています。高温多湿な日本には、最適な壁材といってもいいでしょう。結果として、結露やカビ、ダニなどの発生予防効果も期待できます。
▼断熱性
左官壁は断熱性能が高く、夏の暑さや冬の寒さを防ぎやすくなります。冷暖房の効率アップで室内が快適になり、光熱費の削減にもつながるでしょう。
▼吸音性
下地材の上に塗り重ねられた土や漆喰は、高い吸音性を誇ります。外部からの騒音を防げるのはもちろん、家の中の音が外に漏れるのも防いでくれるのです。
●タイルやサイディングとの違い
左官壁がタイルやサイディングと違うのは、すべて手作業で仕上げることです。タイルやサイディングは既製品を並べていくため、一定の品質は保証されますが、職人のこだわりというものは生まれません。一方で左官壁は、仕上がりが職人の腕前に左右されるものの、唯一無二の壁を作れるのです。
熟練の職人のコテさばきなら、デザインを自由に変えることも可能。シンプルながらも独特の色合いや質感を持ち、味わい深い壁を生み出せます。形状が複雑な箇所でも成功しやすいため、家のデザインにこだわりたい方は、左官壁を試してみるといいでしょう。
大阪府堺市の城工業は、左官工事の専門業者です。「一切妥協しない施工」が強みで、経験豊富な職人が細部までこだわって施工します。その場に応じた最適な壁材やデザインを提案させていただきますので、左官壁に興味のあるお客様は、お気軽にご相談ください。
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